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第4章 許嫁理由

「あっ……痛っ!!」

天谷の小さな口ではよほど口を大きく開かないと亀頭に歯が当たってしまう。

「ご、ごめんっ!!　痛かった!?」

天谷は慌てて口の中から亀頭を出す。

「あ、うん……歯が当たった」

「ごめん……下手くそで……」

一気に冷静さを取り戻した天谷は申し訳なさそうにうつ向いた。

「い、いいよ……気にすんなよ……ごめんな、俺の方こそ……」

「ううん……」

二人は興奮状態から醒め、いつもの幼なじみ同士の空気が戻る。

気まずい空気が充満する前に翔太は軽口を叩き、用意されていた服に着替える。
自分の視線も気にせず目の前で着替える翔太に天谷は文句を言う。

二人は何事もなかったかのように取り繕っていた。