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大魔王の子を孕みます
第9章 闇夜



そもそも、アイツ…。

ベッドじゃしつこいし…。

トイレまでついて来る変態だし…。

それでもライズの姿が見えない新たな生活が始まった事に妙に落ち着かない。


「ミルは…、好きな人とか…、居るの?」


俺の質問にミルが真っ赤に顔を染める。


「好きな人とか…、そんな…、恐れ多い…。」


そうやって真っ赤になる顔を両手で隠して照れたりするミルを見ると少しだけ心が痛くなる。

やっぱりミルもライズが好き?

女の子なら誰でもそうだよな。

あの綺麗な顔…。

ポニーテールにされたサラサラの長い黒髪…。

人を惹きつける紫の瞳…。

まだ半日も経ってないのにライズが恋しいとか思う。


「人を好きになるって…、恐れ多い事なんかないよ。」


自分に言い聞かせるようにミルに言う。

だって俺はライズに不釣り合いだと思うから…。


「シロ様とは違いますから…、ミルなんか…、絶対に相手にして貰えません。」


そんなにライズが好きか?

ミルに嫉妬する気持ちが渦巻く。

だって俺は人間で100年も生きられない。

ミルはまだ若くて俺が死んだ頃には幼子でなく、ライズ好みの可愛い女になってるはずだ。


「ミルは充分に可愛いから…、きっと大丈夫だよ。」


俺が居なくなれば、ライズが孤独になる気がする。

素直で可愛いミルにならライズを任せてもいいかなとか複雑な思いを打ち明ける。


「無理です…、絶対に無理です…。そもそも、歳が離れ過ぎておりますし…。」

「年齢とか関係ない。要は相手を思う気持ちが大切だ。」


恋なんか知らなかった俺が偉そうにミルに説教する。

ミルは垂れ目をキラキラと輝かせて俺の言葉の一つ一つにウンウンと何度も頷いて来る。


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