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大魔王の子を孕みます
第1章 デュセリオン



この時の俺は単純に大魔王に勝てると信じてた。

万が一、負けたら俺の10年間を否定する事になる。

それだけは嫌だと必死になる馬鹿な俺は無理な課金までしてギルドイベントの日までに最高クラスの装備や回復アイテムを掻き集める毎日だった。

そして、イベント当日…。


「問題はこの大森林よねぇ…。」


エリア666…。

通称、ドーマ大森林の入口で俺と同じように課金尽くしの最高装備を構えた魔道士アミルさんが呟く。

ドーマ大森林が厄介なのはデュセリオン中のリポ(倒しても再び蘇る)モンスターや魔獣が存在する点だ。

更に、大森林はダンジョンになっており、1つでも道を間違えれば入口に戻される。

1年前、俺達はこの大森林に200人で挑んだ。

結果は18時間もかけて、深林の出口の目の前で入口に戻されるという大失態で終了する。


「こんなの無理ゲー…。」


誰かがそう言った。

大森林ではセーブすら出来ない仕組みになってる。

よしんば大森林を抜けたとしても噂の大魔王城というダンジョンだと何時間を費やすか皆目、見当が付かない。

セーブポイントが無ければ回復手段なども限られる。

魔法を使うのに必要であるMPなんかはセーブポイントでしか回復出来ない仕様になってる。

それでも前回よりは楽な気がする。

前回はギルドイベントだからと200人も参加したが、レベルの低いユーザーや装備の無いユーザーが多かった。

その分、アミルさんのような魔道系キャラの人のMP消費が激しく大森林攻略を諦めたまま1年が過ぎた。

今回は僅か10人の参加…。

ギルド幹部10人だから、当然、装備は揃ってる。

しかも前回の時にダンジョンのマップを作成してあるのだから下手に入口に戻されるというロスは無い。


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