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護(まも)る少女
第1章 序章
 ふすまの向こうの音が静かになったとき、うららの足元で何かが転がり、ふすまにぶつかった。ゴトリとふすまが震えた。
 
 あっ、しまった……。
 
『ん……』と男が音の方に目をやる気配がした。
 
『おうおう、いるじゃねえか。姐さんの娘さんが……』
 
 ふすまの向こうで畳を踏み締める音がして、うららは壁際の自分の学習机の下に潜り込んだ。
 
『お願いっ、うらら……、娘はまだ十七歳《じゅうしち》なの。だから、娘は……』
 
『十七歳……それじゃあ、俺が女にしてやるよ。姐さん、アンタみたいにな』

 安田の高笑いが聞こえた。
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