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蕾は開き咲きほこる
第12章 昔のキミも今のキミも

「何度か買い物に来たことがあったんですがメンチカツを食べるのは初めてですね」

光春さんは手についた衣をぺろりと舌でなめとった。

「頻繁には来ないんですか?」

「普段は駅前のスーパーですね。遅くまでやっていますし仕事帰りには丁度いいんです。ですが時間がある時は散歩がてら商店街に足を延ばすんです。この活気が好きですし魚や肉も新鮮ですからね」

言われてみれば光春さんの帰る時間は21時過ぎることが多い。
定時に上がれるのは稀で、だから平日の夜に会うことはほとんどない。

「ここのモツが新鮮で有名なのでたまに買いに来るんですよ――そうだ。モツが苦手じゃなければもつ鍋はどうでしょうか?」

先ほどから買いに来るお客さんはモツばかりを買って帰っていた。
それほどまでに有名ならば食べてみたい

「もつ鍋ですか?いいですね」

「では夕飯はもつ鍋ということで」

夕食の献立が決まれば光春さんは慣れた感じでモツとセンマイとスープを注文し、他の材料を買い足しながら来た道を戻った。

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