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蕾は開き咲きほこる
第16章 桜の下で

「あと少しですから頑張ってください」

光春さんに励まされ、手を引かれながら急坂を登った。
見覚えのある山道を登りながら、あれから一年経ったんだと懐かしく思えた。
だけど、きついのは去年と同じ。
光春さんといろいろな場所に写真を撮りに行くようになり、歩くことが増えて体力がついたと思ったのに、やはり山に登るのはきつい。
それでも、目の前に広がる風景を見れば疲れも一瞬で吹き飛んでしまう。
去年と同じように咲き誇る桜。
風が吹けばなびく枝垂桜は今年も圧巻だった。
立ち尽くして見惚れていると、光春さんは荷物を置いて一眼レフを出して枝垂れ桜を撮りだした。
真剣な表情もいつもと変わらない。
その表情に見惚れている私もいつもと……去年と変わらなかった。
変わったことと言えば私と光春さんとの関係。
1年前はただの上司と部下だったのに、今では恋人同士で週末になれば毎週のように一緒に過ごすようになっていて不思議な感じがした。
それは光春さんも同じように感じているようで……
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