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蕾は開き咲きほこる
第22章 嫉妬

『はい。杉澤です』

普段、仕事場では仕事モードの光春さん。
ふたりで居る時とは違う低くて落ちついた声を毎日聞いているけど、電話で話す声はまた違う感じがして妙にドキドキした。
その声音で「汐里と」と呼ばれ、組み敷かれる事を想像すると、いつものように身体が反応して熱くなる。
熱くなっても光春さんは電話の向こうでここにはいない。
愛して貰えないと思うと切なくなる。

『もしもし?』

「えっ、あっ、すいません。坂上です」

妄想にかりたててられていた意識を引き戻された私は、慌てて自分の名前を名乗った。

『坂上さんでしたか。どうかしましたか?』

相手が私だと分かると、一瞬にして優しい声音に代わる。

「あっ、はい!!羽間さんが今日中に課長の捺印が欲しい書類があるらしくて、どうしたらいいのかと思って電話差し上げました」

『そうなんですね……羽間くんは?』

「休憩が終わるのでお昼を食べてもらっています」

『そう……でしたら代わって貰えますか』

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