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蕾は開き咲きほこる
第24章 それぞれの一歩
それから建物の中に入って庭園を見渡せる縁側に座り曲水の庭にも心を癒された。
庭園を流れる水の音は耳に心地よく、枯山水のような作りが目を楽しませ、時折吹き抜けるやさしい風が、先ほどまで悲しみに満ちていた心を癒してくれているような、そんな気がした。

「いい場所ですね。隣が賑わってるなんて信じられません」

「そうですね。少し歩けばこんなにも心穏やかに過ごせる場所がある。日々の喧騒を忘れるには一番だと思います。私も汐里も騒がしいのが得意ではありませんからね。気に入ると思いました」

言葉を交わさなくても保たれる時間は、私も光春さんも好む場所だった。

「この場所を見つけた時、ただただこの庭を眺め、時が過ぎるのを忘れて見入っていたんです。もちろん末広たちと一緒に来ていたので探されていて……園内に戻った時はかなり叱られましたね。あの時の末広の顔は今でも忘れれません」

当時を思い出しているのか、光春さんは面白そうに笑う。

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