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第10章 強制される抱擁

(え！？なんで！？)
(おわりなの？)

広美は一瞬そう思ってしまったが、すぐに自分の考えを否定する。

(もう触らせたらダメ)
(早く逃げ出さないと)

広美は背後にいる太田に不安を感じながら、逃げだす方法を考えていた。

そのとき電車がカーブで右に大きく揺れる。
乗客がいっせいに同じ方向に揺れ動く。

太田はその揺れを利用し、広美の真正面に場所を移動した。

広美は青ざめる。

自分の胸を揉んでいたのはおそらくこの男なのだろうと本能的に感じ取った。

その男はサングラスとマスクをしており、表情は読み取れない。

広美は色々な思いが頭を駆け巡る。

この男のせいで乳首が傷つき、望んでもいなかったオナニーも覚えてしまった。

広美はいま、目の前にいる男に強い嫌悪感を感じはじめる。


太田は広美の表情を少し眺めたあと、ゆっくりと腰に手をまわし、広美を抱き締めた。