この作品は18歳未満閲覧禁止です

  • テキストサイズ
single集
第1章 single 1
side A パレード

実直な趣きをたたえて、たった一つきりのアーケードを有する、その街

行儀よく高さを揃えた小売の店が、道を挟んで両側に軒を連ね、暫く時間を掛けて歩きさえすれば、暮らしに困らない程度には凡その品が賄える。
そんな中、羽目を外した様に屋根を大きくあしらい、派手な彩色を施した看板を掲げた一握りの店は、未だ開く事がない。

世話好きで噂好き、女や男達の火種が絶やされる事なく、今夜はあの店、或いはこの店と、必ず何処かが、夜毎、灯りを入れ、惚れた腫れたのどんちゃん騒ぎを繰り広げる。
とどのつまり彼等には、充分に働いた昼間の汗と、心地よく疲れた肉体があり、ちょっとした愛の誓いと共に、安らげる腕があり、肌もある。
日々の、凡ゆる些末時に祈りの言葉は付け足され、浅き処より祈れば、成る程天は、それこそ近い。まことに神は、俗っぽい愛らしさで彼等と共にあった。
何しろ彼等にしてみれば、そこら中に呑んだくれた神が転がっていそうな位の酒の勢いで、一杯のつけさえも訳ありの思し召しには違いなく、神の御業は、綻んだ靴下の指先ほどにも顕れ給い、有難い当て布の恩恵をも垂れ給う。いかにも、この街の人々にとって、神は細部にこそ宿り給う。

見るからに実直な趣きで、小売の店が軒を連ねる、この街のアーケードにあって、未だ開く事なく、門戸を閉ざし続ける、幾つかの店。
たった一度きりの喧騒が、祝福の声と共に開け放たれ坩堝と化し、夜を徹して街中に吐き出されてゆく、来るべき、その日。
閉じられた今は分かり様もなく、終わった後では、誰ひとり伝える者もいない。
/4ページ
無料で読める大人のケータイ官能小説とは?
無料で読める大人のケータイ官能小説は、ケータイやスマホ・パソコンから無料で気軽に読むことができるネット小説サイトです。
自分で書いた官能小説や体験談を簡単に公開、連載することができます。しおり機能やメッセージ機能など便利な機能も充実!
お気に入りの作品や作者を探して楽しんだり、自分が小説を公開してたくさんの人に読んでもらおう!

ケータイからアクセスしたい人は下のQRコードをスキャンしてね!!

スマートフォン対応!QRコード


公式Twitterあります

当サイトの公式Twitterもあります!
フォローよろしくお願いします。
>コチラから



TOPTOPへ