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single集
第2章 single 2
side A 『愛とは何でしょう?』による きわめて短い session


【熱い唇のタイミングをわざと、ちょっとだけ外して、貴女に囁いてみた。それはまた、別の話になってしまいそうなスリルで…】

「ねえっ!今、アタシが何て言って欲しいのか解る?」
女にテーマを挑まれ、数分の舌の音も乾かないうちに、又もやカラダごとアドリブで持っていかれちまった様な
『愛とはなんでしょう』
どうやら、ずいぶん前から互いに話が噛み合っていないのか?
たびたび陥る会話の妙な隙間にいち早く気付いて、今更わかりきった事を敢えて切り出したかに思えたが…
先に気付いたのは確かに女のほうだ。なし崩しのフレーズでまごまごしている内、いきなり再びまくし立てられ、何の事だかさっぱり解らないまま、その勢いだけが妙に心地よかった。
ジリジリとした女の顔付きさえもが妙にいとおしくって…
「こんな時に、よくもヘラヘラとしてられるわよねっ?」
途端に、心地よさはキーでも何でもない事だけは覚り、ハッとなって硬くなった俺の顔付きを見て取るや否や、女はなおさら激しく切り込んできた。
リズムに追い付けずに(もちろん意味なんて解りようはずもなく)ひたすら表情を硬くしたまま、女と、気配だけはせめて共にしようと精一杯
「都合が悪くなったら、そうっ!すぐだんまりな訳?」
…とりあえず俺のペースは合い出してた…遅ればせながら。

解りきって、チョロいもんだと決めてかかった
『愛とはなんでしょう』
ほんとはだんだん、何だかシックリ来なくなった、このテーマを…ゆっくりゆっくり繰り返すとこから…今になってやりはじめた

「なあ…俺のペースに合わせてくれてるんだよな?…今でも側に…ちゃんと居てくれてるんだよな?」
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