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瀬音とボクとよしみくん
第35章 デート②
「え、あっ、違うぞ、これは……あれだぞ、たまたま手に入って……あ、それとも、あれか、タダ券なんてケチくさいって思ったか?」


ボクが怪訝な顔をしたからか、珍しく瀬音くんがあわててる。


「違うよ、あんな高級ホテルにタダ券なんてあるのかなって」


「確かにな。でも、このホテルは創業25年らしくてな……」


「うん」


「オープン記念の、らしいぞ」


「そうなんだ。25周年記念のタダ券なんだね」


「いや違う。25年前のタダ券だ。オープンの時に配られたやつだ」


「え……それ、期限、切れてない?」


「いや、それが、25年経たないと使えないんだ」


「どういうこと?」


「ほらっ」


瀬音くんがチケットの表を見せて説明してくれる。


「25年後もまた来ようね券?」


「つまり……」


つまり、それはホテルがオープンした時のイベントで配られた券らしい。
25年後もまた、来てくださいっていう面白企画みたいだ。


「こんな券、使う人いるの? 大丈夫? 従業員も忘れてないかな?」


「大丈夫だろ」


いや、もし、使えないなんてことになったら恥ずかしいよ。


チケットの説明をよく読む。


裏にはなにやら写真が。


「ダメだよ、瀬音くん。これって本人以外は使えないみたいだよ」


そこにはカップルが写っていた。
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