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瀬音とボクとよしみくん
第41章 あの日、あの時
「あの~、ひとつだけいいですか?」


「うん? なに?」


「二人とも、兄のことを〈よしみ〉と言っていて、いつ訂正しようかと思っていたんですけど」


「え? よしみくんでしょ? 良実くん」


ずっとそう呼んできた。


「いえ、だって、私も良美ですから。おかしくないですか? 兄妹でやま……〈さくらがわよしみ〉になりますよ」


「確かにな」


「え、じゃあ」


「兄は〈さくらがわよしのり〉です」


「よしのり?」


「本当に?」


「えぇ」


「でも、ずっと、よしみくんって」


「なぁ」


「良実くんは良実くんだよ。いまさら、よしのりくんだなんて」


「えぇ、私も兄がずっと良美と名乗っていたことに驚きです」


「ボクもびっくりだよ。でもどうして」


「それで、話は戻るんですけど、一ノ瀬さんが言うヨシミちゃんは、私ではなく、兄だと思います」


「え、良実くん?」


「はい」


「でも……」
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