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第12章 花の命・・・

『あの・・・先生』



オレは…何日もかけて医学書を漁って
かき集めた資料をレポートのようにして
カンナの担当医を…訪ねた




『・・・～』



また、お前か…何の用だ・・・って

無表情ながらも、その顔に書いてある




『先生・・・本当にカンナの腫瘍

取り除く事は出来ないんですか？』




『・・・～』




『今、じゃなくても…また、小さくして

今度こそは…完全に・・・』




チラリ…

先生はオレが握りしめてるレポートに

一瞬だけ目をやるが

やっぱり呆れた顔をして

受け取りも…目を通してもくれなかった





『君は…医者か？』





『・・・』

ギクッ…っと

心臓を突かれた気がした





『医者の真似事して…無駄な事に

費やしてる時間が君にあるのか？』





『・・・っ』


ムダムダムダ・・・無駄って

この医者は・・・





『あぁ・・・そーだよ…』



オレは精一杯堪えていた感情を

こぼしてしまった






『・・・っ？』



思わず睨み上げたオレの目に

無表情が一瞬、崩れたような

眉毛を動かした医者の表情が映る






『オレは…医者でもなんでもないよ

あんたの言うとおりだ・・・』






『・・・』






『・・・だけど・・・だから

医者であるあんたに頼んでるんだよ…っ』







悔しさ…情けなさ…それから恐怖心


それらがいっしょくたになって

オレの目頭がじわじわと熱をもつ






『あんた医者なんだろ・・・っ

カンナのこと・・・助けてくれよ・・・！』






『・・・』





オレは目からこぼれるものに
耐えきれずに…思い切り頭を下げた






『オレには…なんにも出来ないんだ

∥先生∥・・・頼むよっ…助けてくれよ

カンナのこと・・・助けてくれよっ』