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Best name ~ ひまわりとの約束 ~
第12章 花の命・・・

ガチャン…っ


家の門を乱雑に開けて

オレは庭に駆け込んだ





カンナに…早く渡してあげたい



あ・・・病室は

生花の持ち込みはダメだったか




かまわない


触らせてやれなくても

見せてやったり



カンナが喜ぶこと

カンナを笑わせてやれることを



オレに出来ることを

ひとつでも…沢山、カンナに





そう思って、あのひまわりの

様子を見に駆け込む・・・






・・・なのに






『・・・えっ』






花壇のひまわりは・・・無惨に

花を咲かせる寸前で

くたくたに萎んでいた







『・・・そんな・・・』




オレは慌てて水を汲んで

花壇いっぱいにかけ続けた





・・・頼む

枯れないでくれ





早く


早くカンナに


見せてやりたいんだ




頼むよ・・・



咲けよ・・・咲いてくれよ











『っ・・・咲けよ』




バシャ・・・ッ




焦ったオレの手元が狂って
水が辺りにこぼれる










『あぁ・・・やっぱりダメかしら』






『?!・・・』



振り向くと母さんが
サンダルに履き替えながら
庭に出て来ていた





『この冷夏じゃね・・・花も

だいぶ、影響出てるのね

かわいそうだけど・・・』





『・・・』




母さんが…オレのいない間に

肥料をあげたり

得意のガーデニングで

倒れかけた茎を補正したりしてくれていた





それでも


何年に一度の天候不良の夏に

ひまわりは・・・咲かなかった





クソ…っ


どうしてだよ




なんで、次々に

なんでもかんでも

奪っていくんだよ



チクショウ…っ






ダンっ……


オレは花壇の囲いを思い切り叩いた
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