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第15章 神様のイジワル

『よぉし♪…あと一点よ～！！』




『・・・』



∥頑張れ・・・あと少しだ

頑張れリョウキ・・・∥





気付くと手に汗を握っていて

肩に力が入っていた







『やった～！！』



パチパチパチ



母さんの声とホイッスルで

オレは、ハッとして

周りを一瞬見渡す



ほんの一瞬の集中と

ほんの一瞬のよそ見？



試合が終わっていた




『・・・』


ホッ・・・なんて

心で一息ついた




のに・・・次の瞬間には




『・・・っ？！』



『・・・？』




隣にいる母さんは

ガタガタ震えて

座席から崩れかけている





『・・・なに？』




オレはようやく気づく




ｻﾞﾜｻﾞﾜ・・・ｶﾞﾔｶﾞﾔ




一瞬の歓声のあとに

その声が…ざわめきに変わっていたことに





『ちょ・・・ちょっと・・・？！』




『・・・え』




母さんが指さすコートの方向



コートの真ん中

ネットの際に

人が倒れていて



会場中がざわめきで溢れかえっている




接触…転倒？



そんなものじゃない

それはすぐにわかった







『ゎ゛ぁぁあァァァアア…っ…！！』






会場のざわめき

遠く離れたコート



そんな中でも

オレたちの所まで聞こえてくる



悲鳴・・・。





『ケイゴ・・・っ・・・あれ』




『な・・・に・・・』




コートの真ん中で

脚を押さえて、のたうち回っていたのは




悲鳴をあげていたのは




オレの・・・弟だった。






『・・・そんな』




∥うそだろう・・・？∥