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Best name ~ ひまわりとの約束 ~
第17章 大切な弟・・・可愛い妹
弟は・・・

凍りついたような顔で僕をみていた






『アイルちゃんは…今、確認出来る限り

外傷・・・脳に、損傷や異常は

なにも確認できていない。

でも・・・だからこそ、厄介な部分でもある

一時的なショックで記憶がないだけで

ある時…戻るかもしれないし・・・

逆に・・・一生戻らないことも、ある

だから、絶対の約束は・・・できない』






残酷な答えを告げた僕を前に

弟は…切なそうに、その目に

怒りや悲しみを滲ませた




ガタ…


リョウキはそのショックの反動で

椅子から立ち上がった





『ぁ・・・兄貴・・・・・医者だろ?』





『・・・』






『なんの・・・ために

なんのために・・・医者になったんだよっ?

アイルを・・・助けてくれよ…っ…!!

お前・・・医者なんだろ・・・っ』





ゴク・・・



弟の言葉にボクは息を飲み込んで



皮肉にも…ボクも

いつかの医者と同じ事を

リョウキに向けて言っていた








『うん・・・オレは医者だよ。

リョウキ・・・オレは

医者だ、って・・・だけだ』





『・・・っ…?!』









『医者は・・・神様ではないんだ』







必死に助けを求める患者に

こんな残酷な事を告げるのは

あの時のドクターも

どれだけ辛かっただろう。

今のボクには

あの時の先生の気持ちが嫌と言う程

痛いほど…よくわかる






『・・・っ』


リョウキはたまらずに

相談室を飛び出して行ってしまった。







『・・・フゥ・・・』



一人になった部屋でボクは不意に

いつも白衣の胸ポケットに差してある

名前入りの万年筆を手に取って見つめた



言うまでもなく…これは

大学受験の時に弟が

ボクにプレゼントしてくれたものだ。








『ホント・・・なんのために

医者になったんだろうな・・・・・』









∥・・・ごめんな∥
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