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水沢夏希27歳、開花
第3章 始まりの夜
4人を乗せた車が桜木と黒岩の住むマンションに向かっていた。

行きとは違って助手席に黒岩、後ろに夏希と梨香が座っている。

「ごめんね、びっくりしたでしょう?」

梨香が手を合わせるごめんなさいポーズをする。

「うん、ちょっと……」

なんだかまだ体がフワフワしている夏希がさっきのお店での梨香のお遊びを思いだして顔を赤らめる。

自分が体験したわけじゃなくて見ていただけなのに、なぜか夏希までも恥ずかしい気持ちになってしまう。

「でもいつまでも夏希に隠しておくのも心苦しくて、今夜は私なりのカミングアウト……」

そこまでは前の席の男性ふたりにも聞こえるように言ってから、梨香が夏希に顔を近付けて囁く。

「あんな状況でも私も夏希の顔を見てたんだよ……そして確信したの……夏希も私の仲間だって……夏希も恥ずかしいことさせられたいMだって……そうよね?」

「えっ……そんな……私は……」

否定しようとする夏希だが、そのうろたえた顔は肯定したも同然だ。
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