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籠の中の天使
第6章 狡い街



雨の日が増えた。

学校では期末試験が始まる。

今回は出来るだけ教室で受けるようにと言われたから教室に行く日も増えた。


「咲都…、問2の答えは?」


杉山さんが私で答え合わせをする。


「多分、『不思議』だと思う。」


問題は古典の古語…。

正しい現代語に書き換える問題で杉山さんがショックを受けた表情をする。


「『あやしげ』が『不思議』?怪しげって普通は胡散臭いって言わないっ!?あー無理…、古典とか英語より点数取れないわ。」


私に発狂されても困るとか思う。


「それでもさぁ、咲都に言われた通りに数学の基礎プリだけをひたすら勉強したらさ、いつもよりも解けて今回の数学の成績はアップ間違い無しだよ。」


上地さんが嬉しそうに言う。


「俺も基礎プリだけやった。」


峯岸君まで私の言葉を真に受けたと言う。


「だよね、だよね。」

「山科のテストって基礎プリの問題の数字を変えただけだって気付いた。」

「山科、手抜きーっ!」


上地さんは峯岸君と話す時は一段と声のトーンが上がる。


「後は明日の世界史と英語が難問…。」


向井さんは世界史の問題を丸暗記するのに必死だ。


「俺…、情報社会がボロボロ…。」


茂君が向井さんに泣きそうな表情を向ける。


「茂…、副教科は50点取れたら大丈夫…。受験には必要ないから…。」


暗記に夢中な向井さんはうっとおしげに茂君を突き放す。


「お前ら…、やっぱり同じ大学に行くの?」


峯岸君が聞くと杉山さんと上地さんが興味津々の顔で向井さんと茂君を見る。


「わかんない。理実は指定校推薦取れるけど、俺は取れないと思うから…。」


茂君が凹む。

向井さんはトップ10に入ってる。

私よりも成績が良い。


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