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嘘の数だけ素顔のままで
第6章 痴漢【1】

ヘッダー部の三本線のアイコンから利用規約を見てみることにした。どのサイトの利用規約でも見られるように小さな文字列で難しい言葉がたくさん使われていて、職業訓練を申し込むときに書かされた一切の書類を思い出してあのときの頭痛が甦ってきそうだった。
適当に読み進めて五、六回スクロールしたところでようやく最後まできた。
本サイトは広告収入で成り立っています。
コトブキは二十一、二歳の頃に登録した出会い系サイトにも確かそんなことが書かれてあったことを思い出した。
今どきメッセージをやり取りするのに有料はないよな、コトブキはそう思って利用規約を遡りながら再度適当に目を通した。
三分の二ほど戻っていった箇所で目が留まった。その箇所を読みだして目が釘付けになった。男性は登録無料で、女性は月額三万円と書いてあったのだ。逆なら話はわかる。見間違いではないかと思って、コトブキはその箇所を数十回と繰り返し読んだ。
ふと目に入った「老舗サイト」という固有名詞が妙な説得力をコトブキに与えてきた。そう言えば、文字列のリンクの多さは携帯の時代を思い出させるし広告の数の少なさといい、素人が独学で一から始めたようなサイトの手作り感に愛着さえも感じ始めていた。
女性が有料ならば登録者が業者ということは考えにくい。実際あのヒタチノゾミが登録しているのだ。次第にコトブキの中で愛着が信頼に変わりつつあった。
適当に読み進めて五、六回スクロールしたところでようやく最後まできた。
本サイトは広告収入で成り立っています。
コトブキは二十一、二歳の頃に登録した出会い系サイトにも確かそんなことが書かれてあったことを思い出した。
今どきメッセージをやり取りするのに有料はないよな、コトブキはそう思って利用規約を遡りながら再度適当に目を通した。
三分の二ほど戻っていった箇所で目が留まった。その箇所を読みだして目が釘付けになった。男性は登録無料で、女性は月額三万円と書いてあったのだ。逆なら話はわかる。見間違いではないかと思って、コトブキはその箇所を数十回と繰り返し読んだ。
ふと目に入った「老舗サイト」という固有名詞が妙な説得力をコトブキに与えてきた。そう言えば、文字列のリンクの多さは携帯の時代を思い出させるし広告の数の少なさといい、素人が独学で一から始めたようなサイトの手作り感に愛着さえも感じ始めていた。
女性が有料ならば登録者が業者ということは考えにくい。実際あのヒタチノゾミが登録しているのだ。次第にコトブキの中で愛着が信頼に変わりつつあった。

