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BAR・エロスは今も・・
第3章 修のネゴシエイト
「あの、名前って聞いてもいいの?」
 初めて交渉という舞台に上がった修には、
どんなことを聞きどんな事まで聞いていいのかといったルールが全くわかっていない。
もちろん、聞かなくていい事くらいは判っているつもりだが、
これくらいは、という微妙なところの線引きができないのがもどかしかった。
 フフッと笑う女が答えた。望美です、と。
「ノゾミさんかぁ、いい名前だね。俺は、修。よろしくね。
 望美さんはさ、ここで、その、セックスの相手って見つけたことあるの?」
 ストレートな言葉のジャブを受けた望美は、体をのけ反らせて笑い出した。
「あなたって、修さんってストレートねぇ。セックスの、っていうのは
 省いてもいいんじゃない?でも、そういうとこ気に入ったわ。
 ええ、あなたで3人目になるかな」
「えっ!すごいね!じゃあ常連?でもママさんたち、気づいてなかったみたいだけど」
「毎回雰囲気を変えてるの。髪型もウィッグで変えたり服装も。
 でもバーテンは分かっているみたい、何も言わないけど。
 彼、人を見抜く力がすごいみたいね。マッチングも、彼にかかれば
 100発100中って話よ。
 前にやったオトコが言ってたもの」
 梓もそう言っていたことを修も思い出した。
そんなすごい能力の持ち主である紫苑に愛されている梓は今どれほど幸せなのだろう。
自分も愛したあの体とあの心を、独り占めしている紫苑が正直羨ましい、と
久しぶりに見た梓の底抜けに明るい笑顔に自分の気持ちが映った。


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