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BAR・エロスは今も・・
第3章 修のネゴシエイト
 そっと男の腿に手を置く。
腿の上をすべるか細い指は、次第に熱を帯びた修の核心に近づいてきた。
こんなにもスピード感あふれる誘いなんて初めてだ、と修の期待も大きく膨らむ。
さあこの後、どうやって事を運んでいけばいいのか。
それは経験者であるこの女・望美に任せるほうがいいと、
修は自分がついていくと宣言した。
「経験者である望美さんに今夜は任せるよ」
交渉成立ね、と望美は男の腿から手を外し、
テーブルの上のキャンドルの火を吹き消した。
 灯りが消えたことにすぐに気づいた紫苑がこちらへやって来る。
カーテンを開け、テーブルの前に膝をつき、チェックかと聞く。
修よりも先に望美が応えたが、財布は修が先に出した。
「紫苑さん、ここは俺が」
 支払いを済ませ席を立つと、気を利かせた紫苑が望美を先に店の外に送り出す。
その間に修は梓の元へと駆け寄った。
「こういうのは今夜だけかもしれないけど、この店にはまたいつか来るよ。
 体には気をつけて、紫苑さんと仲良くね。じゃあまたね、あずぅ」
「うん。修も元気で。めでたく子供が誕生したら報告がてら遊びに来てね、待ってるよ」
 重い扉の前まで梓が見送り、修が重い扉を開けると望美がにこりとほほ笑んだ。
「ありがとうございました。またのお越しをお待ちしております」
 ゆっくりとした動作で腰を折るママとバーテンにありがとうと声をかけてから望美は、
修の腕に自分の腕を絡ませて、細い路地の奥にある非日常の世界に背を向け歩き出した。






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