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blossom
第2章 Love1:ハジメテの男
トイレの前にスマホを確認してみたけれど、特に家から連絡はきていなかった。もう日付が変わる。私もそろそろ帰らないと。

「宮野?」
「山根くんっ」
「どうした?遅いから見に来たよ」
「あぁ、ありがとう、大丈夫」
「そろそろ帰る?」
「うん、そう思ってたところ」
「OK」

山根くんがみんなに声をかけて、つかの間の同窓会はお開きに。お店の前で「また近いうちに」と約束をしてから、みんなと別れた。

「あぁー、楽しかった。ありがとね」
「あっ、宮野、そこ段差!」
躓いてしまい、山根くんの腕にしがみつくと、またあの香水が香った。

「ごめんごめん、やっぱり酔ってるみたい。」
体勢を立て直して身体を起こすと、くいっと抱き寄せられた。
「山根くん…離して…」
「ダメだよ、まだふらついてるだろ?」
「もう平気だってば」

覆いかぶさるようにして、私の唇は山根くんに塞がれてしまった。

(キスなんて…何年ぶり…)
頭の片隅の冷静な私が、そんな呑気なことを思っていた。

ほんの一瞬、流されそうになったけれど、なんとか持ち直して身体を離す。

「酔ってないくせに、ふざけすぎだよ」
怒った顔をして、山根くんから目を逸らす。

「酔ってないからだよ」
また抱き寄せられて、今度は強く抱きしめられた。


(こんな風に抱きしめられたのはいつぶりだろう)
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