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blossom
第14章 Love13:待つ男
もう少しで公園の角を曲がる、そのときだった。

傘を持っていた手を掴まれて、引っ張られる。傘の向こうに大きな体…佐野くんだった。

「やめてっ!離して!!!」

「大きな声出さないでください」

丁寧な言葉と腕を掴む力とが合っていない。半分引きずられるように、公園の中に連れていかれる。

「いやっ!!離して!!」

木の枝が転がっている土の上に突き飛ばされた。傘もどこかへ転がっていく。傘もささずに近づいてきた佐野くんが手を振りあげたのを見て、足が竦む。

「ちゃんと話そう、佐野くん!」

雨に濡れたスカートが足にまとわりついて動きにくい。四つん這いになってとにかくここから離れようとする。

「逃げないで、桂木さん」

カットソーを掴まれて地面から持ち上げられると、すぐに太い両腕が私を捕まえてしまった。ギシギシと関節が痛む。

「逃げないから…どこかで話そう」

できる限り優しく声をかけたつもりだったけれど、次の瞬間、私は地面に叩きつけられた。突き飛ばされて泥まみれになっていた。

「そうやって、その気にさせるだけさせて」

佐野くんの手が私の髪を掴んで、引っ張っていく。

「痛ぃっ、やめてっ、許して!お願い!」

(誰か…助けて…)

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