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blossom
第22章 Love21:私だけの男
「パパ…」

夫の目が潤んでいるように見えた。

「そのうちどうしたらさくらが喜ぶのか、何をしたらいいのか分からなくなって…嫌われないようにすることしかできなくなって…」

夫の冷たい頬に手を添えると、ポロッと一粒涙が零れて私の指を濡らした。

「子供たちがいなかったらとっくに…」
夫は続く言葉を飲み込む代わりに、完全に私の中に全てを挿入した。
快感に襲われ、目を開けていられなくなる。

夫から送られたネックレスのチェーンがシャラ…と素肌の上を撫でた。夫の唇がそれを追うように私の首筋に触れる。

「本当は…俺と別れたいんでしょ?」

動かずに私の中に存在している夫を型どるように包み込んでいくのが分かる。

「別れたいんじゃない……ただ…あんなの…」

「笠原にっ…取られたと思えば、さくらのこと諦められるんじゃないかって思ったんだ。」

滅茶苦茶な理屈だ。きっと夫も分かっているんだろう。深いコンプレックスと悶えるほどの嫉妬、そしてもしかしたら羨望もあるのかもしれない。

(ここまで私を…?)

10年の空白云々の前に、私たちはお互いのことを何も知らないままだったのだ。私たちの間に溝が出来てしまったと思っていたけれど、そうでは無かった。

「でもやっぱり離れるなんてできないっ」

抱きしめられ、夫の熱い息があちこちにかかる。ほとんど動かされていないのに、太ももを伝うほどに2人の体液が溢れていく。

「さくらがすべてなんだ。愛してるから…」


気づけば私は、嫌悪感すら抱いていた夫の首に手を回し、眼前にある夫の鎖骨に唇を当てていた。
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