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blossom
第2章 Love1:ハジメテの男
「お母さん、一人だっていうから、入院にしちゃったけど、大丈夫だったかな?」
「え?」

「安静にできるなら、自宅療養でも」
「そうなのね。でもきっと…病院の方が、本人は安心だと思う。」
「そうおっしゃってたよ、確かに。
宮野のお母さんだからね、丁重にしないとな。」

「ふふふ、よろしくお願いします」

「お任せください。
そういえば…宮野、じゃないんだよな、もう」
「そうね、今は桂木。でも、いいよ宮野で」
「桂木さくらか…」

「山根くんは?結婚したって聞いたけど…」
黙ったままヒラヒラさせた左手には、指輪は無かった。
「今は、一人だよ」

コポコポと音をさせて、コーヒーのいい香りが部屋いっぱいに広がった。
「どうぞ、俺のとっておき。ミルク必要?」
「ううん、せっかくだからこのままで」
「嬉しいねぇ」

立派な書斎机の中から、ブーッブーッとバイブの音が聞こえた。山根くんは、引き出しの中から取り出したスマホを見てから、パッと私に目を向けた。
「これから飲みに行くんだけど、宮野も行く?」
「えぇ?誰と?」

高校の同級生の中でも特に仲の良かった数人の名前が挙がる。
「でも私、車だし…」
「俺飲まないから、乗せてくよ」
「それじゃ、悪いじゃない…」
「いや、始めから飲むつもりなかったから、
大丈夫。基本、酒飲まないんだ、俺。」

「でも母が… 」
「おいおい、ウチの看護体制舐めんなよ。
なんかあったら俺シラフだし、安心して。」

「じゃ、少しだけみんなの顔見に行こうかな」
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