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第1章 パンドラ

ピーンポーン…

あ、辰己だ
約束よりちょっと早いじゃん

「はーい」

約束してたのは
今日からしばらくの間
私の住むこの部屋で
一緒に暮らすことになってる
弟の辰己

「早かったね〜、ガチャ…え？」

と思ってたら
目の前には辰己ではなく
知らない男性が立っていた

やだ、辰己じゃないのに
『早かったね』とか言っちゃったし
ドア開けちゃったし
すっごく恥ずかしいじゃん！
てゆーか、あなた…誰？

私を見てる目の前の男性は
ちょっと背が高くて
人懐っこそうな笑顔

あれ？
どこかで見たことあるような…

そう思ったその時

「うわー変わってないなぁ〜。
久しぶり、琴姉」

こ、琴姉？

そう私を呼ぶのは
この世に二人だけだ
弟の辰己と
あともう一人は…

「え？！嘘、冬馬？」

「おー！覚えてくれてて
むっちゃ嬉しいわ！
ほな、お邪魔しまーす」

「うんうん、
ほんと久しぶりじゃなーい。
狭いけどどうぞー…
え？てかちょっと待って何？
どういうこと？」

「え？」

いや、おかしくない？
まぁ久しぶりに会ったし
部屋にあげるのも構わないんだけど
突然何？
この場所誰から聞いたのよ
それよりも何よりも

「そのでっかいトランク何？」