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転生悪役令嬢は甘く、乱される。
第10章 王子の訪問は、突然に。
「姉がいつもの休憩場所に居ないと思って探していたら、メイドからレイモンド殿下がこちらに伺っていると聞きまして」
「……ふ、君は相変わらずだね。まぁ、僕にも考えがあって。今日はその実行でここへお邪魔させて頂いた次第だ」
「……考え?」
「おお! ラドルフ、お前も殿下にご挨拶なさい。将来はお前の義兄になるのだからな」
「!」
気の早いお父様からの報告に、ラドルフは驚いた様子で目を見張る。
「……そういう事だ」
「……なるほど。あの晩、殿下が仰っていた意味がよく分かりました」
レイモンド殿下と目を合わせたラドルフは、ほの暗い何かを宿したような眼差しで殿下を真っ正直から見据える。
――見えない閃光が、二人の間でバチバチとぶつかり合っているかのようにも見えた。
スッとラドルフが、レイモンド殿下の真横に近づく。
「……殿下がそのおつもりなら、俺も今後は遠慮を控えようと思います」
「……!」
殿下の耳元へ何事かを囁く。
それは小さくて、私には聞き取れなかったけれど。
目に見えない、緊迫した空気が二人を包んでいた。