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転生悪役令嬢は甘く、乱される。
第6章 王子との邂逅
(ど、ど、どうすればいいの……)
目の前には転生前、憧れてやまなかったレイ王子。
まさか、本物に会えるなんて……。
それこそ、夢なのではないかしら。と思ってしまう。
「……ご令嬢? どうされました?」
動揺と緊張で石のように硬直してしまい、何も言葉を発しない私の様子を見かねて、レイモンド殿下が更に顔を近づける。
ち、近い……っ。
「も、申し訳ございません…! まさか、こんなところでレイモンド殿下のお目に掛かれるとは夢にも思っておりませんでしたもので」
潔くドレスの両端を摘まみ、己の不敬を詫びて深く頭を下げる。
「クスッ。そうだね……僕も、こんなところでこれ程美しい女性に出逢えるなんて。夢にも思わなかったよ」
「……っ、あ」
自然と流れるように私の前に跪き、左手をそっと下から掬われる。
手袋越しにレイモンド殿下の体温が触れたかと思うと、指先に直接チュッと軽くキスを落とされた。