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転生悪役令嬢は甘く、乱される。
第7章 碧の瞳に囚われて
「王妃様、並びにレイモンド殿下、アルベルト国王が参られます」
王宮の執事長の声が大広間に響き渡り、にわかに騒がしかった室内がしんと静まり返る。
ビロードの垂れ幕が掛かる奥の間から、カツコツと靴音を鳴らし、レイモンド殿下、王妃様、アルベルト国王の順に民衆の前に現れた。
「今宵は遠路はるばる、わが息子、レイモンドの為にお集まり頂き……感謝する。息子もとうとう16という歳を迎え、来年には聖マリノス学園へ入学する運びにもなった。今宵はその祝いを兼ねての舞踏会。皆、心行くまで楽しんでいってくれ」
大広間にある上座で、アルベルト国王が高らかに始まりの挨拶を告げると、それを合図に楽団が音楽を奏で始めた。
王族専用の席にアルベルト王が座する横で、王妃様とレイモンド殿下も倣う。
その時だった。
「――!!」
これだけ沢山の人が居ながら、レイモンド殿下と目が合った気がする。
遠目に殿下が微笑むのが見えて、慌てて私は目を逸らした。