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転生悪役令嬢は甘く、乱される。
第9章 レイモンドSide.暴走する好意
その背中に、
「――それは聞けない。近々、君と彼女にはまた会うことになるだろう」
「! それは……一体、どういう意味ですか」
「どういうも何も。そのままの意味だ」
「……っ、失礼します…!」
開き直った僕の態度に彼は憤慨したようで。
これ以上話を聞いても無駄だと判断したらしく、足早にテラスから出ていく。
あとに残ったのは、僕一人。
(彼には卑怯だと思われるだろうが……僕にも、考えはある)
彼女にはもう関わるなと言うのであれば、逢わざるを得ない状況を作ってしまえばいい。
(今夜にでも早速、父上に相談しなくては――)
カツ、コツ。
再び静寂に満ちた空間に、足音だけが響く。
“ある決意”を胸に宿した僕を見ていたのは、青白く下界を眺める月だけだった。