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わたしを見ないで
第4章 指名返し
「“篤志くん”はさぁ、彼女いないの?」


 当たり前といえば当たり前だが、いきなり自分の下の名前を呼ばれた先生は恐ろしく怪訝な顔でわたしを睨み付けた。
 ホテルのエレベーターの中でわたしは先生を笑ってやった。

「ちょっと〜元生徒なんだから、そりゃ名前くらい知ってるよ〜」

「彼女ね…。そんなのいたのはもう前世の記憶だよ」


 先生は洗いざらしの癖毛頭を手櫛しながら、意外にも素直にプライベートな話をしてくれた。


「ふーん。つまり、しばらくいないってこと?」

「いたら風俗で業界未経験の子狙って予約入れたりなんかするもんか」

「篤志くんってロリコンなの?」

「そんなわけないだろ。ていうかさ、篤志くんって呼ぶのやめてくれない?」

「じゃあなんて呼べばいいの?」


 先生はふと、わたしが見たことのないような素直そうな表情を浮かべて黙り込んだ。それが底意地の悪い先生の素顔だったのだろうか?


「……考えたけどパッと思い付かないから、暫定“篤志くん”で良いよ。先生って呼ばれるよりはましだ」


 この顔を担任だった頃に目にしていたら、わたしはもしかしたら先生のことを好きになっていたかも知れないな、となんとなく思った。
 

「明日は仕事なの?」


 “篤志くん”に訊くと、篤志くんは


「あーあ。30歳にもなるのに18歳の元教え子に下の名前をクン付けで呼ばれるなんて、おれってマジでゴミだな」


 誰に向かって言うわけでなく、静かに呟いた。
 もしかしたら心の声をうっかり口に出してしまったのかも知れない。
 わたしはプッと吹き出して、わたしの目線の高さにある篤志くんの逞しい肩を2回叩いた。


「ねーねー篤志くん聞いてるー?明日は休みなのー?」


 この質問を投げかけるのは通算3回目だ。
 ようやく篤志くんは


「朝のうちは部活、昼からは休み」


 ぶっきらぼうに答えた。




 
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