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† 姫と剣 †
第6章 アノア王国
数時間、馬車に揺られ近付いてきたアノアの国から、独特の空気が漂う。
流石に疲労の溜まったルシアは口を押さえながらハワァと欠伸をしていた。
ローハーグから遥か南の砂漠の奥。
このような立地でありながら、緑が生い茂るこの国は昔から奇跡の国として名高い。
「姫。あと少しで宮殿に着きます」
「みたいですね」
馬車が街へ入ると、はぁっと息を呑む。
ローハーグの街並みとは似ているようで異なる。
「色鮮やか……ですね。さすが、実りの国…」
街の中の色が多い。
その鮮やかさに、ルシアだけでなくリューイも目を奪われる。
人も、ローハーグよりも陽気に見えて、笑顔が多い。
「どうです? アノアは」
「まだ少ししか見られていないですが、すごく魅惑の国ですね」
「気に入っていただけたようで良かった」
改めて、ルシアと同じくロイも街並みを眺めた。
久々に自国を客観的に見て、心が和んでいく。
ロイは、やはりこの国が好きなのだ。
「あっ……! ロイ王子!!!」
ロイに気が付いた民が声を上げると、周りも手を止めて馬車に顔を向ける。
「おかえりなさいませ!」
「あぁ」
民の声掛けにロイは微笑みを向け、軽く手を振る。
その様子を見て、ルシアも思わずロイの方を見た。

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