この作品は18歳未満閲覧禁止です

- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
† 姫と剣 †
第2章 成人の儀
はらりと落ちたルシアの髪の束を掴んで整える。
「時が癒しますよ」
マヤの言葉に、ルシアは目を瞑る。
時が………
本当だろうか。
いつかこの気持ちを忘れてしまう時が来るのだろうか。
そもそも忘れたいと思っているのだろうか。
自問自答するルシアの足元で侍女のアマンダが「あれ?」と声を上げた。
「ルシア様、これは……」
アマンダの言葉に、ルシアは片足をあげる。
「ミサンガ…ですか?」
「……そう」
「私がお仕えし始めた時にはもうつけていらっしゃいましたよね」
マヤの言葉に、ルシアはコクリと頷く。
「いつからか……は覚えていないんだけど」
気付いた時にはルシアの足首に付いていた。
記憶がないほど昔の出来事。
それでも外してはいけないような気がして、今に至るまでつけているのだ。
「そうなんですね」
「邪魔……かな? できれば外したくないんだけど」
「いえいえ、足元ですし、衣装を着てしまえば隠れますので大丈夫ですよ」
アマンダの言葉に、ルシアはホッと胸を撫で下ろす。
そして、全ての支度が終わると鏡の前に立った。
再度を編み上げた金色の長い髪。
水色の公式な王族ドレスには、白くユリの刺繍が施されている。
「本当、お綺麗です……。あとは成人の儀で授かるティアラだけ、ですね」
マヤを始める周りの侍女たちがうっとりと息を漏らす中で、ルシアは部屋の隅に置かれた自身の剣を見つめた。

作品検索
しおりをはさむ
姉妹サイトリンク 開く


