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悪魔から愛されて
第22章 新たに動き出す


もうすぐ式が始まる。


龍崎さんは会社の人達に囲まれ話をしている。



私は教会の庭で、海を見ていた。
キラキラと波が輝いている…
太陽が気持ち良い…



その時…



後ろから誰かに手を引かれた…
驚いて振り向くと…




「…高山さん…」




健斗は人差し指をを口に当て、庭の木陰に私を引き寄せた…



驚く私を、健斗は力強く抱き締める…

「た…高山…さん…どうして…」




「鈴木さん…いいや…恵美…」

「…っえ…」

「俺…思い出してはならないことを…ほんの少し…思い出してしまったんだ…」

「…何を言ってるの…?」

「…一緒に…絵画展行った…招待チケットに、恵美の名前があったんだ…」

「…け…健斗…」

「絶対に思い出してはならない…でも…俺は…今でも…」

「…高山さん…それ以上は…言わないでください…今日は、あなたの結婚式です…」




…言葉が遮られた…

…塞がれた唇…

痛いほどの口づけ…




…ダメ…

私は健斗の胸を押して、唇を離した…

「…高山さん…お幸せに…可愛い新婦が待ってますよ…」

私は自分の感情を押し殺し…微笑んだ。

「…う…うん。ごめん…行くよ…鈴木さん…最後に伝えられて…よかった…」



健斗はゆっくりと後ろを向き、歩き出した…

その背中を見送る…

振り返ることはなかった…




涙は出さないよ…健斗…

…おめでとう…




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