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悪魔から愛されて
第26章 気になる過去


早乙女さんは、私の涙を親指で拭い、微笑んでくれた。
私の心臓は、忙しく鳴り響いていた…


「龍崎は、君を強引に自分のものにしなかった…優しい男だからね…
それが僕には歯がゆくてね…。初めて恵美ちゃんに会った日に、その運命を伝えたかったんだ…
でも、龍崎に止められたんだ…」


「そ…そうだったのですね…」


その時、後ろから低い声が聞こえて来た…


「…早乙女…恵美に触るな…ったく…」


振り返ると、急いで駆け付けた様子の圭吾が、息を切らせて立っていた…
その怒った表情に、早乙女さんがクスッと笑う。
お店の人は、椅子を引き、圭吾を椅子に座らせた…


圭吾は私の顔を覗き込み、泣いていたことに気づいてしまったようだ。


「…恵美、泣いてるのか…?」

「ち…違います…」

「…早乙女!お前が泣かしたのか…?」

早乙女さんは笑みを浮かべながら、少し呆れたように話始める。

「…龍崎は、こう見えても、意外に女心が解らないからな…」

「な…何が解からないんだよ…?」

「もっと、しっかり恵美ちゃんを安心させてあげないと…俺が奪うよ…」


私は、思わず顔が赤くなってしまった…
早乙女さんに真顔で言われて、嬉しくない女子は居ないと思う…


「め…恵美も、顔が赤いぞ…早乙女に照れるな…!」

早乙女さんは圭吾を真っすぐ見て話し始めた。
少し眉を寄せた、悔しそうな顔をしながら…

「龍崎、悔しいけど…俺はお前にいつも勝てない。
大学のミスターコンテストも、お前が優勝で俺は2位だった…

前世でも俺はお前に勝てなかった…
俺はリリスを愛していたが、リリスはお前を心から愛していた…

今も、俺は本気で恵美ちゃんを好きになりそうだが、お前には勝てない…」



「早乙女!」



こんなにも完璧に見える、早乙女さんが…
圭吾にそんなことを思っていたなんて…











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