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悪魔から愛されて
第26章 気になる過去




「…圭吾、お願いがあるの…」

「…っえ…お願い?」

「…うん。あのね…もしよければ、亡くなった圭吾の奥様のお墓に連れて行って欲しいの…」

「…恵美、なぜ…」

「…私は、奥様に圭吾を幸せにすると、約束したいの…直接ご挨拶もしたいし…」

「…恵美…ありがとう…」





奥様のお墓は、港の見える丘の上でとても素敵なところだった。
海からの風が心地よく、周りには花々が風に揺れていた…


私達は白いユリの花束を、彼女の前にお供えした。
目を閉じて、手を合わせていると…

何処からか白く、可愛い小鳥がお墓の上でチュンチュン…声を出していることに気づいた。
それは、まるで私たちに何か話をしているように感じる…


「…圭吾、奥様からのメッセージかな…?」


私はその鳥に手を差し出すと、ちょこんと私の手に乗ってくれた…
その鳥は、とても綺麗な声で歌っているようにも聴こえる…



その時…



「…恵美ちゃん、彼女は“あなたに会えてよかった”って言ってるよ…」

その声に驚いて振り返ると、早乙女さんがそこに立っていた。

「早乙女さん!!」

早乙女さんは微笑みながら、私の手に乗っている小鳥を撫でた…

「圭吾、恵美ちゃん、彼女は今日だけ小鳥になって二人に会いたいと、僕にお願いに来てくれたんだ…」


「では…やはり…この小鳥は…奥様なんですね…」


小鳥は私の手から、圭吾の肩に飛び移った…
圭吾の耳元に何か話しかけているようにも見える…




“私には、何を話しているかは分からないけど…圭吾は優しい目で話を聴いている…”




「…早乙女さん、奥様に伝えて頂けますか?私は必ず龍崎さんを幸せにしますと…伝えてください。」

早乙女さんは笑みを浮かべて頷くと、小鳥に何か伝えたようだ…



暫くすると、白い小鳥は私たちの上を一回りして、力強く空へ飛び立っていった…











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