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第11章 お前を守る

龍崎部長…ありがとうございます。

でも…なぜ私が襲われてるってわかったの？

それに…向井を吹き飛ばす不思議な力…

あれが、悪魔の力なの？

でも…私を守ってくれた…

いろいろな事がありすぎて、頭がクラクラする…



ふと携帯電話を見ると、着信があったようだ。

「あっ、健斗だ…今日の事は健斗には言わないでおこう…心配かけるの嫌だし…」

「あぁ、健斗、電話くれたみたいだね、ごめんね。」
「恵美、…声が聞けて良かった…こっち来てから、クライアントに怒られてばっかりでさぁ…さすがの俺も凹んでるよ…恵美の声聞くと元気になるよ…」
「大変そうだね、でも健斗なら大丈夫だよ。頑張ってね。」
「おぅ、頑張るよ。恵美…愛してるよ。」
「ありがとう健斗。私も愛してるよ。」


電話を切ったとき、胸がズキッっと痛かった。
健斗を愛していることに嘘はない。



…でも…



翌日、出社すると社内がザワザワとしている。
何かあったのかなぁと思っていると、京子がいち早く情報を仕入れてきた。

「恵美、おはよう…大変な事件だよ。」
「…うん。何があったの？」
「営業部の向井先輩って知ってるよね？」

その名前に心臓がズキッとする…

「…う…うん。知ってる。」
「会社で自殺してたんだって。」
「…えっ、自殺？」
「…そうみたい。朝早く出社した人が見つけたらしいよ。」



向井が死んだ…自殺…？



「ねぇ恵美、大丈夫？」
「う…うん…だ…大丈夫。ちょっと驚いただけ…」
「驚くよね、いきなり会社で自殺なんてね…なにがあったんだろうね。」


本当に自殺なの…

それとも…まさか…あの人が…


暫くすると、マネージャーと龍崎部長が何か話ながら歩いてきた。
マネージャーは営業部の人を集めて話し始めた。

「もう知ってる者もいるかも知れないが、今日の朝、向井君が自殺した。この事は大事にしたくないので、社外には絶体に口外しないで欲しい…」


マネージャーの話を聞きながら、龍崎部長に目を向けると、わずかに微笑んだように見えた。