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不倫研究サークル
第12章 女社長
綾乃と別れて、僕と愛莉は電車の中にいた。愛莉はワインのせいか、少し顔が赤かった。

「なんだか……、ごめんなさいね。 森岡君の恋路を邪魔しちゃって」

愛莉が、僕が綾乃の事を好きだ、と言ったとき綾乃は笑って相手にしなかった。

事務所でキスをしたとき、もしかして綾乃も少しは僕に好意を持っているのではないかと考えていたのだが、いくら男性経験がないとはいえ、僕は恋愛の対象外と言う事なのだろう。

「川本さん、誤解ですよ。 確かに宮下さんには憧れているけど、恋愛の対象じゃないです」

「分かったわ、これ以上は言わない。 森岡君が誰を好きかなんて、わたしには関係ないものね」

と言うと、愛莉は大きく欠伸をした。

「大丈夫ですか? 川本さん」

「う~ん、やっぱりワインは効いたかも」愛莉は眠そうに目を擦った。

愛莉の自宅は、東京の郊外、僕の最寄り駅よりも先だった。僕が先に降りることになるが、大丈夫だろうか、と心配になる。

「ねえ、わたし、帰るのがめんどくさくなっちゃった」

「はあ……」

「森岡君の家に泊めてくれる?」

愛莉をこのまま返すのも心配だ。僕の部屋に泊まって、翌朝にでも帰った方が安全だと僕は判断する。

「良いですよ。 狭くてむさ苦しいところだけど、どうぞ、使ってください」

僕は、ごく自然に答えたつもりだったけど、愛莉はびっくりした様な表情を見せた。

「へ~、本当に変なトコだけオトナなんだね」

そう言うと、僕が好きな彼女の笑顔を見せてくれた。


「なんだか、宮下さんも川本さんも、僕の事を子供扱いするから、凹んでしまいます 笑」

「ウフフ、 褒めてるんだけど。 森岡君って大人の余裕があるなって」

「そうですか? よく分からないです」


電車は、僕の最寄り駅に着き、愛莉と一緒に降りる。

「コンビニに寄って行ける? 明日、このまま学校に行くけど、下着だけは変えたいから」

コンビニに寄ると、愛莉はショーツと一緒にビールも買っている。

(まだ飲むのか!?)と、内心あきれるが、彼女のカゴの中をチラ見して、僕は驚いた。


(こ、コンドームが入っている!?)


僕に、そのつもりはないし、愛莉も、そんなつもりで僕の部屋に泊まる訳ではないだろうと思っていたので少し動揺してしまう。


僕は、気づかないフリを決め込んだ。




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