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不倫研究サークル
第16章 卒業
綾乃は、僕の胸にあてていた手を離し腕をだらんと下げた。しかし、僕は綾乃の肩を抱いたままだ。

「どうしたの? 圭君も私を離して」

勝ち誇ったような目で、綾乃は僕を見つめる。唇には濃いめのルージュが塗られ艶やかに光っていた。

(これは……、まずい)そう思うが、抑えが効かない。

綾乃が目を閉じるのを合図に、僕はそっと唇を、ルュージュで光る綾乃の唇に合わせた。







「圭君、久しぶりだったの? 随分と激しかったじゃない」

すでに日付も変わってしまい、僕は綾乃のベッドの上で、裸で彼女と抱き合っていた。

「すみません、僕から別れてくださいとお願いしたのに」

僕は、自分の意志の弱さを恥じた。こんなことで、来年からの二年間を頑張れるのだろうかと不安になる。

「圭君は、相変わらずクソ真面目ね 笑」

綾乃は、愛おしそうに僕の胸や肩に手を滑らせた。久しぶりに味わう甘い感触に、また綾乃を抱きたくなる。

「今日は、お願いがあって来たのですが、こんなことになっては話せないので、明日にします」

「また 笑
仕事の事だからって、あらたまらなくても良いわよ、そういう所がクソ真面目なのよ。 言ってごらんなさい」

本当に、こんな状態で話しても良いのだろうかと戸惑ってしまうが、要件は済ませられるものなら、済ませた方が良い。

「実は、運営の仕事なのですが、来年から忙しくなるので、別の人に引き継ぎたいと思ってます」

「まあ、身体の関係だけでなく、仕事の関係も絶とうというの? 私のことが嫌いになった?」

「嫌いになったら、こんな事しませんよ」

「うふふ、そうよね、分かっているわよ。 何かやろうとしてるのね」

「はい、目標ができたので、その為に忙しくなりそうなんです」

「どんな目標?」綾乃に問われるが、話が長くなりそうなので、本題を先に済ませることにする。

「それは、今度ゆっくり話します。 今日は先ず、後任の事を相談したかったんです」

「誰か、あてがあるの? サークルの後輩?」

「え……と、川本さんです」

愛莉の名前を出した途端、綾乃の態度が豹変した。

「それは、ダメ!」

予想通りだ。愛莉は妊娠したことで受け持っていた家庭教師のコマを他の家庭教師に代わってもらい、運営に混乱を招いていた。

それに、綾乃と別れた原因も愛莉だという事が知られている。




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