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イキ狂う敏腕社長秘書
第5章 【妖艶にして耽溺】





誰かがお手洗いに入って来た気がした。
個室で泣いてるのバレたらびっくりさせちゃうよね。
必死に声を抑えていたらコンコンとノックされた。




他にも個室空いてるのに……なんで?




「美雨…?居る…?」




えっ!?
声だけでわかった。
でもどうして!?ステージに居たはずじゃ。




「居るなら出てきて………顔見せて」




嘘でしょ………マコさん。
どうしてそんなに優しい声なの。
また泣いちゃう。




「ダメです………今見られたくない、ステージ……戻ってください」




「開けて?美雨の顔見ないと戻れない」




強情な性格は唯一知っているところ。
仕方なく鍵を開けて扉から姿を見せた。
外から人の話し声が聞こえてきたのでそのままマコさんが個室に入って来る形となった。




「あ………」




「声出さないで」




濡れてる頬を指で拭ってくれて抱き締めてもらえた。
それだけで充分なのに。
人の話し声は遠のいたので少し小さな声で話をしてくれた。




「美雨、もしかして妬いた?私が他の人とキスしたこと」




「そんな可愛げのないこと口が裂けても言えません」




「妬いてよ……私は妬いたよ?明里さんとキスばっかしてたの誰だっけ?」




「………ごめんなさい」




「私だってこの身体他の男に許してること自体気に食わないよ」




腰から引き寄せられ密着する身体。
痛いとこつかれて目が合わせられない。
そうだよ私………自分のこと棚に上げて何ヒロインぶって嫉妬してるのよ。
被害妄想も甚だしい。




「……ごめんなさい」




「でも泣くほど嫉妬してくれたんなら単純に嬉しいよ?」




優しく前髪に触れ、キスを落としてくれる。
これが神対応ってやつ?




「自分でもよくわかんないくらい心が乱れてます……嫌だって思っちゃいました、すみません重くて」




「重くなんかないよ、美雨なら何だって嬉しい……じゃあさ、消毒してくれる?」




「え…?」




「ていうか消毒して欲しくてここまで追いかけて来ちゃったんだけど」




顎クイひとつで持っていかれる心。
しっとり重なる唇は優しく啄む。
明里さんのキスとはまた違った気持ち良さ。
いつもより長く絡ませてくれる。










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