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イキ狂う敏腕社長秘書
第12章 【愛の循環】





一緒に住める訳ないんだけど、可能性は有ると含みを持たせる。
仕事上、帰宅時間や忙しさは充分理解してもらえている筈だ。




(ごめん、仕事)や(今日は会えない)は使えなくなる。
まだ一人で居たいのは事実で、たった一人を愛し抜く自信はないに等しい。
欠けたままの自分で一緒に生きていけるほど気持ちが追いついていないのもある。




「そこまで考えてくれるの嬉しい、ちょっと時間もらえる?ちゃんと考えたくて」




「勿論だよ、急にとは言わないけど同じ屋根の下でこんな日が続けばな…て思ってる。俺は本気だから、美雨の事」




返事はキスで返してこれ以上甘い言葉を吐かせないようにした。
その場しのぎの誤魔化しでもいい。
頭がクラクラしてくるから、もう言わないで。




適度な愛でいいから。
生温い愛にもう少し浸らせて。











昨夜は当たり前のようにお泊りして休日を迎えてる。




寝なれないベットと枕だけど隣が温かいのは良い。
まずは嗅覚が目を覚ます。
どこで身に付けたのかわからないけど、匂いで誰と寝たのかわかるようになってきた。




間違えて他の男の名を呼ばない為だ。
寝ぼけてしまうのが一番危険な事はよくわかっている。




遠い意識の中でパシャと音が聞こえる。
少し様子を見てみたが、すぐに写真だと勘付いた。
ゆっくり瞼を開くと案の定、携帯のカメラをこっちに向けている一ノ瀬さん。




レンズ越しに目が合って「わっ」と驚いている。




「何してるの?」




「あ………ごめん、寝顔可愛くてつい」




「ん………撮ったの?見せて」




「はい……すみません」




素直に携帯を渡してくれて合計3枚、私の寝顔を撮られていた。
これのどこが可愛いんだ?
白目剥いてないだけマシか。
お口も開いてなくて良かった。




削除しかけたら「わー!」と取り返してくる。
消さないで!って勝手に撮られたんだけど?





「盗撮禁止」




「ごめんなさい、もうしません」




朝から怒ってる訳じゃない。
イチャつくきっかけを探しているのだ。
カメラモードをオンにしてインカメに切り替える。











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