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夏の終わりに
第12章 告白 ①
あの日のこと、ちゃんと謝らないと。

ちゃんと伝えないと。


千里はしがみつき直すと、もう一度背伸びをした。
優しく抱きしめてくれている今なら、何でも話せそうな気がする。


無理に作った笑顔も、眉をしかめて顔を背ける姿も、拒絶した背中もない。
部屋に忍び込んで千里の体を弄ったり、息が出来なくなるほど強く抱きしめたりしてくる浩人もいない。

今の浩人になら、言えそうな気がした。


けれど口を開くと泣いてしまいそうで、千里は何度も開いては閉じて、息を飲み込んだ。想いがどんどん膨らんで、呼吸をするのも苦しい。

花火が打ち上がり、二人は光に包まれる。また暗闇が戻ってきた時、浩人の薄い唇が千里の口に重なった。

チュッと小さく音をたてて浩人が顔を離す。
覗き込むようにじっと見つめられて、千里は何を話したかったのか考えられなくなっていた。
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