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第19章 安息 ②

こんなの、ダメッ

胸を避けて下りていく大きな手を捕まえようとして、けれど千里はそうする代わりに背後のタイルに手を押しあてた。
ひんやりとした冷たい感触に身震いして、そっと体も預ける。


止めて…と、何度も口が開きかける。
そのたびに小さく息を飲み込んでぎゅっと目を閉じ、羞恥に熱くなる顔をそむけた。

浩人の指が触れる微かな感覚に、研ぎ澄まされた神経が歓喜のあまり打ち震える。
じわじわと攻められているようで全身がゾクゾクと痺れて、快楽が波のように打ち寄せてくる。それなのに浩人は、肝心なところには一度も触れてこようとしない。

もぅ…やめて

その願いが“もう触らないで”という意味なのか、それとも“じらさないで”という意味なのか、千里自身分からなくなっていた。

やだっ

抑えきれない想いに、口が開く。

「…は、ぁんっ……」

溢れた甘い声に驚いて、千里は慌てて唇を噛み締めた。