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第19章 安息 ②

泡立ったソープをまとった千里の体が、ぬるりと浩人の肌の上を滑る。それがどんなに浩人を煽っているのか気づくこともなく、千里は広い胸に体を預けていた。

「…っく、ぅ……っ」

呻き声が心地よく響いてきて、千里は小さく喘ぐ。
耳を澄ませてみれば浩人の鼓動も聞こえてくる。それが嬉しくて、千里はさらに体を擦り寄せた。


こうしているだけで、テッペー達にされたおぞましい記憶が薄らいでいく。

浩人の気持ちがどこにあるのか答えは分からないままで、それでも強い想いが伝わってくるから幸せだった。


浩人が再び呻いて、千里の穏やかな時間をあっけなく崩していく。

「は、…ぁ……っ」

互いの胸に挟まれたままの親指が小刻みに揺れて、乳首を撫で潰す。

熱い息を耳元に吹きかけられると、千里はくすぐったさに身を竦ませて逃げようとした。けれど追いかけてきた唇に耳たぶを甘く噛まれて、あっという間に背後のタイルに追い詰められる。

「ひゃ…あぁ……」

叫んだはずの声は、誘うような甘ったるい啼き声に変わっていた。