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夏の終わりに
第10章 休息
膝に感じる重みと温もりが愛おしくて、切なくなる。二人の間にこもる熱に体温が上がり汗が頬を伝い落ちていくが、べったりと張りつくその暑さが心地好かった。


ほっそりとした首に指を這わせて自分がつけたキスマークを撫でると、浩人は自傷気味に口元を歪ませる。


―――目が覚めたら、笑ってよ。


泣き寝入りした幼い千里に、小学生の浩人は何度もそう話しかけていた。頬に出来た涙の後を指で拭い消して、艶やかな髪を撫でて、小さな手をつついては返ってくる反応がくすぐったくてクスクスと笑った。

―――もう、泣かないで。僕が守るから。ずっと守るから。

自分の指を握りしめて眠る千里に、浩人は祈るような想いで誓いをたてた。


「……とんでもない嘘つきだな」

あの頃と同じように千里の艶やかな髪を撫でて、浩人は赤く腫れた瞼にそっとキスを落とした。
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