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夏の終わりに
第11章 花火
目を覚ましてみると、浩人の膝に頭を預けて横になっていた。

肩に乗せられた浩人の手は今と同じように頼りなく蠕動し、二人共、汗でぐっしょりと濡れてしまっていた。肌に張りついたシャツにブラジャーが透けて見えていて、続けて目を覚ました浩人がそこをうっとりと見つめる。
千里が慌てて胸を隠すと、クスリと笑われた気がした。

けれど顔を上げた時にはもう、浩人はそっぽを向いてソファから離れていた。その背中が千里を拒絶しているように見えて、千里はズキリと痛む胸を庇うように自分の体を抱きしめた。


その後二人は、ぎこちない会話を繰り返しながら順にシャワーを浴びて、ぎこちないままテーブルについた。

お互いに口には出さなかったけれど、中途半端な花火を観ることになるかも、と思っていた。
それでも、不満があるはずもない。


「ここで、充分だよ?」

千里は振り返って、そっと微笑んだ。
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