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第5章 5
「う・・・ 歯を・・、立てるなよ」


 男が何かを堪えるように、静かに言った。
慌てて歯を唇に仕舞うように大きく口を開く。
舌にそれを押し当て、擦り付けながら、何とか半分ほどまで口の中に挿入させる。
もっと奥まで咥えるべきなのだろうが、恐怖心が先立って、それ以上進めない。
じっとそのまま堪えていると、口を塞ぐ男の肉杭が、
紗織の中で、ますますその体積を増やしているように感じた。


「ん・・・ふ・・・ぅ・・・・・」


 紗織はこの状態からどうすればいいのか分からず、
そそり立った熱い塊を口いっぱいに咥えたまま、鼻で息を繰り返した。
男の匂いをこれまでになく強烈に感じる。
廻る血がざわついて、耳まで赤く燃え上がるような衝動が身体の奥から噴出す。

無言のまま、男の手が、太腿に置かれていた紗織の左手を掴んで
紗織の咥えている根元の袋の部分に添えさせる。

そこを触れということなのだろうか。
勃起した部分とは明らかに違った温かく柔らかい感触を手に押し付けられて、
戸惑って肉茎を口から出そうとすると、
男の右手が、紗織の後頭部に回り、その顔を根元に向かって強く押さえ込まれた。

一気に押込められた肉棒に、咽喉奥を責付かれて、嘔吐感が込上げる。
苦しさに身をよじらせて、引き抜こうと尖端までスライドさせたところで、
また男の手に力がこもって、再び奥まで咥えさせられる。


「んー!! んふっ・・・ん! んんー!!」


 口に大きな肉杭を咥えたままでは、制止の声を上げれるわけもなく、
男の手によって何度も咥内から出し入れをされては、
咽喉奥で引っ切り無しに、回転するように込み上げる嘔吐感を耐えねばならなかった。
その源である男の肉棒の咥内への挿入を、少しでも防ぎたい一心で、
紗織は精一杯口をすぼめて、その面積を小さくする。
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