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華夏の煌き~麗しき男装の乙女軍師~
第4章 4 北西の村
「辛いか?」
「特に、辛くはないです」
「では、嬉しいかね?」
「さあ……」

 感情的なことを問われても、よくわからなかった。毎日、同じ生活を繰り返し、何かを考えることも感じることも特になかった。貧しい村ではなかったので飢えることもなく、邪険にされることもなく自分の役割を黙々とこなして生きてきた。環境が変わることが、晶鈴にとってどんな変化が訪れることなのか想像もつかなかった。

「自分がどうして生まれてきたか。自分の天命など考えてきたことがあるかね?」
「テンメイ……?」

 全く聞いたことのない言葉だったが、少し心に響いた。不思議そうな様子に陳老師は優しいまなざしを向ける。

「占い師は感情的にならず、思いこむこともないほうが良い。時間はたっぷりある」

 晶鈴には何もわからなかったが、とりあえず委ねるしかないので考えることはしなかった。ただこの草原の景色はもう見られないかもしれないと思ったので、馬車の窓から同じ景色を見続けた。
 
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