この作品は18歳未満閲覧禁止です

  • テキストサイズ
華夏の煌き~麗しき男装の乙女軍師~
第9章 9 王太子妃
 数多居る花嫁候補の中から東の地方長官の娘、呂桃華が選ばれた。桃華は豊かな艶のある黒髪を持ち、透明感のある肌に小さな赤い唇がさくらんぼのように愛らしく乗っている。そして美しい指先は楽器の演奏も巧みだった。
 王太子妃決定の知らせを受けた夜、家族は喜び大宴会を行う。近隣の庶民たちにも酒と馳走を振る舞い、小さな村は新年のようなお祭り騒ぎになった。
 その喧騒の中、当人の呂桃華は青い顔でため息をついている。

「姉さま、もっと喜ばないと」

 双子の妹である李華が声を潜めて耳打ちする。

「まさか、選ばれるなんて……」
「名誉なことだわ。いずれ王妃になるのよ?」
「王妃なんて……」

 姉の桃華が暗く沈む理由は、杏華にもよくわかっていた。桃華には下っ端役人の恋人がいるのだ。このことは両親も知らない。杏華のみ知っていることだった。

「一ヵ月もすると中央から迎えが来るわ。今のうちに話し合っておかないと」
「……」

 桃華は首を横に振り「やっぱり嫌だわ……」とつぶやき、杏華の手を取る。

「ねえ。杏華が行ってくれないかしら?」
「えっ!?」
「父上も母上も区別がつかないときがあるのよ。あなたが行っても絶対にばれないわ」
「で、でも。この王太子妃選びは、占術ででも選ばれてるのよ? 人が違えばいくら双子だとは言え……」

 合理主義で現実的な政治と、占術による神権政治が結びついていることを、地方長官の娘といえども重々承知している。

「だって、だって生まれた時間がほんの一刻違うだけなのよ?」
「で、でも、欺くのよ? それも王や王子、国をよ?」

 あまりにも畏れ多いことに杏華は震える。

「じゃあ、もう、彼と駆け落ちするしかないわ……」
「姉さま!」
/628ページ
無料で読める大人のケータイ官能小説とは?
無料で読める大人のケータイ官能小説は、ケータイやスマホ・パソコンから無料で気軽に読むことができるネット小説サイトです。
自分で書いた官能小説や体験談を簡単に公開、連載することができます。しおり機能やメッセージ機能など便利な機能も充実!
お気に入りの作品や作者を探して楽しんだり、自分が小説を公開してたくさんの人に読んでもらおう!

ケータイからアクセスしたい人は下のQRコードをスキャンしてね!!

スマートフォン対応!QRコード


公式Twitterあります

当サイトの公式Twitterもあります!
フォローよろしくお願いします。
>コチラから



TOPTOPへ